刑事事件において弁護士が必要な理由
弁護士コラム
ドラマではよく見る刑事裁判、そこには必ず弁護士の姿があります。
刑事事件において、弁護士は必須の存在であり、特に刑事裁判では原則弁護士なし行われることはありません。
早期に弁護士に依頼することが解決への近道といえます。
以下説明していきます。
1 不起訴処分得るために弁護士が必要
刑事事件において不起訴処分を得るためには,弁護士の存在は不可欠となります。
犯した犯罪が被害者の存在する事件(痴漢や盗撮等の性犯罪,万引きなどの財産犯,暴行罪や傷害罪などの身体犯など)であった場合、示談の有無で刑事処分が決まります。
1日も早く示談することで、自身の刑事事件について不起訴となる可能性が高まります。
検察官は,被害感情や被害弁償の有無などを重視して刑事処分を決めます。
いつまでも示談をしないと、検察官は、刑事処分をせざるを得ない状況となり、最悪の場合逮捕・勾留されるおそれも生じてきます。
示談するのは、当人では出来ず、必ず弁護士を立てる必要があります。
刑事事件の加害者に直接会ってもいいという被害者は基本いませんし、警察や検察も被害者の方の情報を教えるわけにはいかないからです。
示談したいのであれば、弁護士に依頼する他ありません。
以上のとおり、不起訴処分を導く示談は、弁護士しかできないため、弁護士が必須となります。
2 被疑者の勾留を解くには弁護士が必要
被疑者が逮捕されると、殆どのケースでそのまま勾留されます。
その期間は最大で20日間となります。
弁護士に依頼することでその勾留を終了できる場合があります。
まず、勾留取消請求をすることができます。
勾留の必要性がないことを主張して裁判所に交流の取り消しを認めてもらう制度です。
法律に定められた要件に該当する事実があることを証拠に基づいて主張していくことになりますが、裁判所を説得するに足りる主張をするには事実上弁護士がいないと不可能といえます。
ただ、この勾留取消請求は、正直なかなか認められません。
次に考えられるのは、保釈請求です。
後で予定されている刑事裁判に出頭することを約束して身柄拘束を解いてもらう制度です。
この保釈は勾留取消と異なり、かなりの確率で認められます。
捜査が終了していない、起訴事実を否認している場合などは難しいですが、そうではない場合、認められる可能性が高まります。
しかし,いくら本人や家族が保釈を請求しても,警察や検察,裁判所は,被疑者を外に出しても逃亡したり,証拠を隠したりしないという確証が持てなければ,被疑者を外には出してくれません。
このような状況においては,警察や検察,裁判所を説得するために,弁護士が必要になります。弁護士が証拠を集め,意見書を作成し,それをもって警察や検察,裁判所を説得してこそ,保釈される可能性が高まります。
また、被害者のいる事件では、逮捕・勾留後も示談をすることで即釈放になることもあります。
ですから,被疑者・被告人の身体拘束を解くためには,弁護士の存在が不可欠です。
3 公判事件では,弁護士の存在は不可欠
刑事裁判は、交通違反など極々一部の例外を除いて弁護士がいなければ、裁判自体が開かれません。そのために、国選弁護士制度があります。
国選弁護士は、名簿順に法テラスという機関がその事件の弁護人を選任します。
国選弁護士であれば、裁判官が決定するので確実ではありませんが、費用は無料となることが多いです。
ですので、国選弁護士が当たりであれば、それがベストと言えます。
しかし、実情としては、国選弁護士を担当する弁護士は、正義感溢れる弁護士など極小数を除いて、弁護士なりたての若手や一線を退いた年配の方がほとんどです。
弁護士なりたての若手の場合、何を聞いてもきちんとした回答がない、頼りにならず心細い、
年配の方だとそもそも接見に来てくれない、などの理由で私選弁護士に変更する方がいらっしゃいます。
刑事裁判での弁護士は、事件記録を詳細に検討して、事案の肝を抑え、被告人の希望を実現するために、証拠の収集や証人の確保、尋問の準備などやるべきことは多岐にわたります。
また、裁判外でも、日々の連絡や保釈請求や裁判終了後の生活の手配などもあります。
そういった数々の事項について、ご自身で選んだ弁護士に依頼すると、心強く安心できるのが通常です。
刑事事件という一大事に納得のできる弁護士を選任することは何よりも重要といえます。
以上のような理由で刑事裁判に弁護士が不可欠であり、ご自身で選任した私選弁護士であれば、安心できるといえます。
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